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「…もう……」

「コンコン、……失礼します」

 注意しようと出した声がノックの音と被り消される。

 新たな神官が五人部屋へ入ってきた。先頭は中年だかその他の四人はまだ若く二十代前半に見えた。前の三人は堂々としてるが後ろの二人はオドオドと落ち着かない様子で、何が違うのか観察すると襟の刺繍の色が違う。中年の神官は赤と緑の二色入りで次の若い二人は赤、その次の若い二人は青と続いてた。――ああそうか後ろ二人の位が他の者に比べ低すぎるのか。

「二色の刺繍は一等神官、赤は二等神官、青は八等と九等神官です」

 ロトがそっと小声で囁いた。神殿では刺繍で神官の身分を判断するので知らないと拙いと考えたんだろ。えっと確か、赤・緑の目立つ刺繍は一等神官で赤で襟と袖にあるのは二等神官、襟だけが三等で緑で襟と袖にあるのは四等、襟だけが五等。黄色で襟と袖にあるのは六等、襟だけが七等。青で襟と袖にあるのは八等神官、襟だけが九等神官で刺繍なしが十等だったはず。うん大丈夫だ、間違えてない。

「今日提出して貰った収支関係の書類に不明瞭で疑問に感じる部分が多いのですが、これについて会計の二人は何か言うことがありませんか?」

 五人が席に着くのを待ち今度こそ邪魔が入らないうちにと話しを進める。自分より位の高い者に案内された八等と九等神官が他のメンバーに戦きぐすぐずしてるが見えない振りをした。

「…はぁ? そんなはずは……」

「勝手ながら事実が記載されている書類と入れ替えさせて頂ました。私利私欲に走り己が懐を増やすしか能がない者達をこのまま放置しては神殿が潰れてしまう虞があると考えました」

 会計部署の三番目の責任者である二等神官が自分が態としたことだと答える。言葉を遮られた一等神官は目を真ん丸にして驚き、ありえないことが起きたと顔が語ってる。

「ではそこにいる一等神官は神子に偽りの書類を提出しようとしたのですね。ロト、一等神官も捕らえてください」

「はい」

 廊下から神殿騎士を呼び入れロトは、ブルブル振るえ出した一等神官を連れて行き牢へ入れておくよう命令した。二人の神殿騎士に腕を掴まれ引き摺られてる一等神官は顔だけを振り返り、「裏切り者!!」叫けぶ。

 二等神官は真っ青な顔で視線を逸らす。多少後ろめたさを感じてるんだろ。普段から反発してたなら図書館所属の二等神官のように虐げられてたはず、それがなく三番目の責任者の座へついてたのだから今までは横領を認めてたってことだ。

「これで会計の責任者は貴方になりました、後で不当な金銭を要求した者達の名前を全て提出してください」

「…はい」

 二等神官の顔は暗い。――あれっ、自分が責任者になりたいための裏切りと考えたが違うのかな、何を考えてるか解らない要注意すべき人物だ。そして人事部署の責任者の神官補佐が汗を拭いながら震えてる。神の加護で一年中穏やかな気候の我が国、暑さのため汗をかくことなどありえない。自分も不当な金銭を要求しました、と白状してるも同然だ。

 どうせ後で解ることだから今は追求しないけど。


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