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オリジナル小説ブログ。常々ファンタジーを書いてみたいと思ってました。
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「図書館所属で四等神官以下の者達は、給料を全額返済すれば罪に問うつもりはありません。全額返済後は還俗して神殿から去って貰います。会計はその旨を通達し間違いなく返済額を回収してください。手元に給料が残ってない者は親へ手紙を書かせ、親に払わせなさい。三等神官以上の者は話しを聞いてから訴えるかどうか決めます。名簿と還俗するための書類は人事から受け取ってください。……あっ、ここにいる者は別ですよ、この三人は還俗させるつもりはありません」

 神官達は驚いている。後から来たため話しを聞いてない四人が驚くのは解るが、話を聞いたはずの神官補佐達も驚いてるのが不思議。

「おっ…お待ちください、人事では希望部署の再調査があります、会計のほうまでは手が回りません。それにそこまでするようなことでしょうか、私にはそうは思えません…」

「書類を渡すだけで大した手間と思えませんが。貴方は先ほどから反対ばかりですが……もしかして書類が今、どういう状態なのか知らないのではないですか? もしそうなら正直に答えてください。……散々待たされたあげく、『あると思った書類ですが実はありませんでした』では後々問題となりますよ」

 また人事の責任者である神官補佐がぐだぐだ言い始めた、与えられた仕事を少しでも減らそうとしてる。怠け者か、もしくは実際に人事の仕事を把握してないため誤魔化そうとしてるように見える。

「っぅ…、も、申し訳ありません。私には解りません」

 ガックリと頭を下げた神官補佐に溜息を吐く。

「はぁー、では解る者を呼びにやりましょう。ですがその前に他の方々はどうですか? 自分の部署の仕事を把握してない方は手を上げてください、今纏めて解る者を呼びに行かせますから。ここで嘘をついても後でばれます、ですので正直にお願いします」

 福神官と老人以外の四人の神官補佐が手を上げた。福神官は影は薄いが仕事はちゃんとやっているようだ。福神官は神子殿で老人は治療院、それに図書と会計で十三部署のうち四部署はいるから残り九部署の責任者を呼びに行かせた。神殿騎士はケイト神殿騎士総括が責任者で仕事には問題がないが、これから色々仕事をして貰うのでお願いするためにも代理の者を呼んだ。

「…で、貴方達は普段何をされているのですか?」

 神官補佐以上の者達を集めれば全てを決められると思ったのは甘かった。

「それはもちろん福神官になるための勉強をしてます」

 教育部署の責任者の神官補佐が当たり前って顔で胸を張って答える。

「そんな個人的なことを聞いているのではありません。神官として何の仕事をしているのか? と聞いているのです。神殿が貴方達に神官補佐の地位を与えたのはそれなりの仕事をして欲しいからです。当然ですね、仕事もしない者に地位を与える馬鹿はいません。……何年前から神官補佐なのかは知りませんがまさか1つも仕事をしてないってことはないですよね?」

 当たり前なことしか話してないつもりだったが聞いてる神官補佐達の顔色が見てて解るほど変わった。

「…ふ、福神官になることが最優先事項であると、こっ、心得ており……」

 人事の責任者である神官補佐が汗を拭きながら反論し、自分達の正当性を主張しようとしてるらしい。だが途中で切り捨てた。どうせまた意味の解らないことをぐたぐた話すに決まってる、苛立つから聞きたくもない。

「…都合の良い言葉ですね。でも周りを見てください皆はきちんと仕事をしています。それに貴方達は自分を過大評価しすぎです。出世を義務付け強制的に勉強させるのなら、そこにいる二等神官ようにまだ若くて将来性がある者達へ命令します。貴方達のように先のない年寄りに誰も期待しませんよ。仕事をしない神官補佐など必要ありません、ロトこの者達を自室へ閉じ込めておくように、沙汰は後で通達します」


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「…もう……」

「コンコン、……失礼します」

 注意しようと出した声がノックの音と被り消される。

 新たな神官が五人部屋へ入ってきた。先頭は中年だかその他の四人はまだ若く二十代前半に見えた。前の三人は堂々としてるが後ろの二人はオドオドと落ち着かない様子で、何が違うのか観察すると襟の刺繍の色が違う。中年の神官は赤と緑の二色入りで次の若い二人は赤、その次の若い二人は青と続いてた。――ああそうか後ろ二人の位が他の者に比べ低すぎるのか。

「二色の刺繍は一等神官、赤は二等神官、青は八等と九等神官です」

 ロトがそっと小声で囁いた。神殿では刺繍で神官の身分を判断するので知らないと拙いと考えたんだろ。えっと確か、赤・緑の目立つ刺繍は一等神官で赤で襟と袖にあるのは二等神官、襟だけが三等で緑で襟と袖にあるのは四等、襟だけが五等。黄色で襟と袖にあるのは六等、襟だけが七等。青で襟と袖にあるのは八等神官、襟だけが九等神官で刺繍なしが十等だったはず。うん大丈夫だ、間違えてない。

「今日提出して貰った収支関係の書類に不明瞭で疑問に感じる部分が多いのですが、これについて会計の二人は何か言うことがありませんか?」

 五人が席に着くのを待ち今度こそ邪魔が入らないうちにと話しを進める。自分より位の高い者に案内された八等と九等神官が他のメンバーに戦きぐすぐずしてるが見えない振りをした。

「…はぁ? そんなはずは……」

「勝手ながら事実が記載されている書類と入れ替えさせて頂ました。私利私欲に走り己が懐を増やすしか能がない者達をこのまま放置しては神殿が潰れてしまう虞があると考えました」

 会計部署の三番目の責任者である二等神官が自分が態としたことだと答える。言葉を遮られた一等神官は目を真ん丸にして驚き、ありえないことが起きたと顔が語ってる。

「ではそこにいる一等神官は神子に偽りの書類を提出しようとしたのですね。ロト、一等神官も捕らえてください」

「はい」

 廊下から神殿騎士を呼び入れロトは、ブルブル振るえ出した一等神官を連れて行き牢へ入れておくよう命令した。二人の神殿騎士に腕を掴まれ引き摺られてる一等神官は顔だけを振り返り、「裏切り者!!」叫けぶ。

 二等神官は真っ青な顔で視線を逸らす。多少後ろめたさを感じてるんだろ。普段から反発してたなら図書館所属の二等神官のように虐げられてたはず、それがなく三番目の責任者の座へついてたのだから今までは横領を認めてたってことだ。

「これで会計の責任者は貴方になりました、後で不当な金銭を要求した者達の名前を全て提出してください」

「…はい」

 二等神官の顔は暗い。――あれっ、自分が責任者になりたいための裏切りと考えたが違うのかな、何を考えてるか解らない要注意すべき人物だ。そして人事部署の責任者の神官補佐が汗を拭いながら震えてる。神の加護で一年中穏やかな気候の我が国、暑さのため汗をかくことなどありえない。自分も不当な金銭を要求しました、と白状してるも同然だ。

 どうせ後で解ることだから今は追求しないけど。


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「不満そうですが、何か問題がありますか?」

 一体なんなんだ、特別変なこと言ってないぞ。

「我々は神官補佐ですぞ」

「解ってます、だから何が問題なのか聞いているのです。先へ進めたいのですが宜しいですか?」

 ああそうか、身分の低い者とは同席したくないってことか、くだらない。

「しっ、しかし…」

「…解らんかのう、神子は兎に角話しを最後まで聞けと言っておるのじゃ、席がどうじゃとかくだらぬことで一々中断させぬことじゃな」

 老人の神官補佐だ、席は福神官の次で神官補佐の中では一番偉いっうことになるのかな。

「ありがとう、では続けます。人事部署の責任者に聞きます、神官になった者は最初に希望部署を提出しているはずですがここにある書類には書かれてません、その書類はどうしましたか、まだありますか?」

「はい……厳重に管理し保管しております」

「…そうですか、では再調査し図書館部署を希望しながら他の部署へ配属された者達の名を提出してください。最優先事項です、大至急提出してください」

 返事の変な間が気になるんだけど、まさか人事部署の責任者、本当は書類が残っているかどうか解らないじゃないのか。

「はぁ、ですがそれでは人事・会計・教育の三部署の人員が大幅に減少し足りなくなると思うのですが…?」

「そうですぞ、特定の部署からの移動は迷惑ですな」

「………?」

 教育部署の責任者の神官補佐が顔を歪め毒々しい感じ。話しが見えない、三部署の名なんてなんでここで出てくるんだ。

「話しの通じん者達じゃ、普段は偉そうにしておるのに大したことないのう。先ほど神子は神官に出身は関係ないと仰ったばかりじゃぞ、全部署からに決まっておろう」

「図書館へ貴族出身以外の者を配属すると言うのか!?」

 人事部署の責任者が何故か驚いている。

「神官なったとき性を捨て名だけの存在になると義務つけられています。身分でいえば神官全員が貴族と同等です。貴方は神殿の規則に不満でもあるのですか?」

「えっ? いっ、いいえそんなこと…は、しかしこれまでの慣習では貴族出身以外の者は……」

「三十年ぐらいまで神官は貴族出身の者ばかりでした、どこの部署も一緒です慣習などありません」

 ロトが思わずっう感じで口を出した、呆れたような顔をしてる。

「ほんにそうじゃ。第一、特定の部署からの移動は迷惑と今言ったばかりじゃろう、出来もせぬことをぐずぐずと何がいいたいのじゃ、神子の命令を拒絶したいならそう言えば良かろう?」

「なっ、筆頭とはいえ言って悪いことがありますぞ、拒絶したいなどとは言っておりません」

「ほおそうかの、では何がいいたいのじゃ?」

「そっ、それは……」

 くだらないことをぐだぐたと先へ進まず段々苛立ってきた。もう爆発寸前。


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「何故私がこんな侮辱を受けねばならんのだ? 神子だとて傲慢な仕打ち、許されるべきものではありませんぞ!」

 タラッ神官補佐は縛られ床に座り込み、廊下から呼び入れられた神殿騎士が二人後ろにつき逃げないように見張ってる。神子の部屋の回りは常に神殿騎士に警護されてるのだ。

 オロオロし言葉もなく成り行きを見守ってた神官達は助け舟を出すべきかどうか悩んでるようだ、ロトは神官達へ睨みを利かせた。

「神子、この者の罪状は?」

「横領に契約不履行です。証拠はこの書類です、図書館部署では様々な理由をつけて経費を要求してますが理由がおかしくて不自然です。仕事は一切せず命令違反を繰り返し、神殿転覆を企てた疑いもあります。図書館所属の者達は全員を取り調べる必要があるでしょう寮は閉鎖して一人も逃さないよう見張ってください。ただしこの紙に書かれている者達は別です、この部屋に来るよう伝えてください」

「なっ…、どこが不自然なんだ、ちゃんと会計の許可を貰っているではないか。それに神殿転覆を企てだなど誇大妄想も甚だしい」

「そう会計部署もおかしいですね、必要と思われる孤児院の建物の修繕費を認めず、理由も不確かな図書館部署の要求を認めている。図書館部署から賄賂を貰いましたね」

 会計部署の責任者である神官補佐をジロリと睨むと真っ青になって震えた、白状したも同然の態度だ。タラッ神官補佐はそれを見てチッと舌打ちしてる。

「では会計の責任者も捕まえますか?」

「もちろんです。ですが大人しく従ってくれるなら縄はかけなくて結構です、下の者達の目前で不様な姿を晒したくはないでしょうからね。本当は皆の話しを聞いてからのつもりでしたので順番が狂ってしまいました」

 考えてた順番は、集まった神官達に普段してる仕事内容とこれからの予定を確かめ、神官っう仕事をどう受けとめてるのか、身分に対しどんな考えを持ってるのか聞きだすつもりだった。しかし下手なことを言っては自分も捕まる可能性があると解かれば口も重くなるだろ。

「……あの、会計部署の寮も閉鎖いたしますか?」

 神殿騎士は会計部署の責任者である神官補佐に立つよう促し、神官補佐は項垂れた様子で従った。扉の近くまで進み念のためっう感じで聞いてくる。

「会計部署の寮ですか、そちらは必要ありません。一応は仕事しているようですし、神殿騎士達も両方では大変でしょう……後で通達しますが、これからは初心に戻り真面目に仕事をしてくれれば咎めないと伝えてください……あっ、早速ですが仕事をしてもらいましょう。会計部署の二番目と三番目の責任者を呼んでください」

 神殿騎士達は頭を下げタラッ神官と会計部署の責任者である神官補佐を連れて部屋を出た、後は彼らに任せておけば滞りなく進めてくれるだろう。問題はこっちだ、残った福神官一人と神官補佐五人を相手にどう進めればよいかな?

 ふと気づけば、遠くに座ってる神官補佐がいなくなった二人分の茶器を早く片付けるよう若い神官を急かしてる、何してるのか不思議で眺めてると二つ分の席を移動した。馬鹿らしいそんなことぐらい自分でやれば良いのに、他人の手を借りないと何もできないのか?

 二人分の椅子を片付けようとしてる若い神官達を止め。

「今、新たに神官を呼びました、申し訳ありませんが五人分の席の準備をお願いします」

「はぁ? 我らと同席させるのですか?」

 今、席を移動した神官補佐が心外とばかりに声をだす。


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「そろそろ時間ですね」

 福神官と神官補佐は年数によって順位が決まりそれによって座る位置も決まる、案内と給仕のために残った若い神官達にロトは間違いがないよう最終確認してる。コージェは神官でないがキジュの学友なので隣に座ることになった。

 ノックが聞こえ時間に正確な神官達が現れたようだ。若い神官が決められた席へ案内してお茶とお菓子を振舞う。ロトが後ろに立ち神官の名前と役職を教えてくれた。書類によると部署は十三箇所に分かれてるが福神官と神官補佐は八名しかいず何人かは二つの部署を掛け持ちしてる。

「時間になりましたがどうなさいますか?」

 まだ二つの椅子が空だ、来てないのは治療院にいた老人の神官補佐と図書館のタラッ神官補佐。

「来ない者は仕方ありませんので始めます。今日集まって貰ったのは伝えたいこ……」

「ぎりぎりじゃったかのう? すまんなあ忙しかったのじゃ」

 ココンと扉が叩かれ開き老人の神官補佐が、「忙しい、忙しい」呟きながら案内も待たずに踏み込んでくる。後ろにはもう一人、神官補佐がいた。でっぷりと太った男だ、遅れたことを誤りもせず案内するよう若い神官に命令してる。

 腕を組み、若い神官がお茶とお菓子を出し二人が話しを聞ける状態になるまで待つ。他の神官補佐達がキジュをチラリと盗み見て隣人とヒソヒソ話してるのが見える。気分を害したのが顔に出てるんだろ、たとえ僅かな時間でも遅れて誤りもしないなんて人間として最低だ。

「……今日集まって貰ったのは皆に伝えたいことがあるからです。図書館担当の者達をほぼ全員解雇します。位と勤務年数によっては法的に訴えることも検討してます。これは……」

「ちょっと待て! 来た途端、なんの冗談なんだ!?」 

 タラッ神官補佐が立ち上がり怒鳴る。また話しを途中で遮られむっとした。

「冗談などでありません。それに突然でもありません。今朝、図書館にいた神官達へその旨を伝えたはずです、かなり時間が経ちましたが聞いてないのですか?」

「クッ…、しっ…、しかし我々は貴族出身で……」

「ああ図書館にいた神官もそれを言ってましたね、『本が読みたければ自分で探せばよいでしょう、貴族出身の我々の手を煩わせようなんて…』だそうです。神官に出身なんて関係ありません、貴族であることを誇りたいのなら王城でどうぞ」

「………」

 タラッ神官補佐は絶句し、他の神官達がクスクス笑い始めた。堪えきれないって感じでどんどん声が大きくなる。

「な…何?」

 真剣に話してて笑う場面じゃないのに困惑した。ロトは困ったように苦笑してるしドジャとコージェも困惑顔だ。

「神子様、それは無理じゃ。タラッ神官補佐程度の貴族では王城では誰も相手にせぬ」

「えっ?」

 ますます困惑してロトに助けを求めると、貴族の身分も何段階に分かれておりタラッ神官補佐の親は貴族と言っても下のほう、王城で働くことはできても意見が言える立場でないそうだ。ここにいる神官は貴族出身の者が多いから知ってるのだ。

 両手を握り締め怒りに体を振るわせたタラッ神官は踵を返し部屋を出ようとする。

「侮辱するために呼ばれたのですかな? 失礼させて頂く」

「待った! ロト捕まえて、『位と勤務年数によっては法的に訴える』ってさっき言ったでしょう。タラッ神官補佐はこの場で神殿騎士に引き渡すから」

 ロトは機敏に反応し部屋の中は音が途切れた。


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