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村長はロトを呼びつけようと何度も人を寄こす。あの村長の甥っう男が現れた後、執拗なほど。流石のロトも村長に対し怒ってるのか一度も出かけたことないが。
あのとき村長は謝らなかった、『わしは閉じ込められてるみたいに小屋から出てこない少年がいるが中で何してるんだろうね? そう言っただけだ。嘘じゃない事実だろ』 開き直ったそうだ。まあ確かにここんとこ朝から晩まで勉強してるから。でも意味ありげな言い方で話しの流れによっては誤解を招くっうの。
今日も使いとして孫のクニが迎えにきたがロトは気乗りしない様子。
「病人が出たわけではないのですね。でしたら遠慮します、村長には申しわけないと伝えてください」
ロトは戸を閉めようとするがクニが手で押さえニヤリと不適に笑い意志を押し通す。
「大切な相談があるそうなんでお願いしますよ、折角来たんだしねえ」
自分の方が背が高いのを武器に、上からロトの顔を覗き込み髪を弄んでる、人を小馬鹿にしたふてぶてしい態度だ。キジュからロトの背中しか見えずどんな顔してるか解らないが、決して機嫌が良いとは思えない。用があるなら村長がこの小屋を訪ねるべきだろ。
ロトは諦めたように溜息を吐く。
「解りました、今回だけは行きましょう。キジュ、ちょっと出かけてきます」
振り返り仕方なさそうに微笑んでからロトは出かけてく。クニは嫌味たらしい笑顔でキジュを見据え戻っていった。フフンっう得意そうな顔だ。
村長が甘やかすからクニは己が一番偉くて正しいと思い込んでる。
確か三つ年上で苛めっ子だった。ロトの手前、直接手出しはしないが存在自体を認めていない、キジュと遊ぶのが悪いと友達はかなり苛められたらしい。何人も苛められるからと離れてった。今も離れず友でいてくれるのは親友のコージェただ一人。
村長に訴えても苛められるほうが悪いと取り合わないそうだ。村の責任者が孫可愛さで不平等を押し通すんだから増長して当たり前。
「ただいま戻りました。キジュ、二人で違う村へ引越しましょう」
「はいっ? ロト、何かあったの?」
強引なやり方で連れてかれたから直ぐ戻ってくるとは思ってた、だが往復時間だけで話しする暇あったのか疑問に感じるほど早いとは予想外。それも戻った後の第一声がこれでは心配するなと言われても無理。
「私と一緒は嫌ですか?」
首を傾げ上目遣いで聞き返してくるロトは男、それも三十歳、とは信じられないほど可愛い。庇護欲が刺激されお願いはなんでも叶えてあげたくなる。
「いやいやそんな。引越しは構わないけど一緒に行っても良いの?」
もう成人してるんだから独立して仕事を探すのが先決じゃないか。
「当たり前です、まだまだ教えることが沢山ありますから。いつでも出られるよう準備だけはして置いて下さいね」
「解った!」
現実はロトのほうがキジュの何倍も強く、そして何十倍も頼りになるけど…。一人で生きてく自信なんて小指の先の爪ほどもない。