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「しかし大神官はただ一人だけしか選ばれねえはず、だから神官の中で一番偉い者、つまり権力者ってことじゃねえですか?」
不思議そうにジェンさんが問い返す。
一般的にはそう考えるんだ。神官っうものが世間では余り理解されてないことに気づいた。キジュのように直接、神官に教えて貰わないと解からないことかも知れない。
「そうですが微妙に違います。元々神官とは権力と程遠い存在です、頂点に立つ大神官とて同じです。……ただし特殊な役職があります、王補佐と神殿騎士総括です。神子や現王に意見できる立場で神官でありながら権力を持つことを許されている者達です。神子の教育係りしかなれない役職で、神子と同等の権力を持つことが可能と言われてます……代々の大神官達はこちらの役職も兼ねてましたから、権力があると誤解されるようになったのだと思います」
ん? っうことは王や神子の次に偉いのは王補佐と神殿騎士総括に任命された神官で。神官の中でも権力が持てるのは特殊な役職につけた者だけ、もしくは教育係りのように特殊な役職にいずれつくことが決まっている者だけっうことになるのか?
大神官だろうと一介の神官と何ら変わらないっうことだ。今までの大神官は特殊な役職も兼ねてたから一緒くたにされてただけ。キジュもその違いを理解してなかった。
「でも前王時代から政治にも大神官の思惑が反映してるってよく聞きますが? ……す、すみません、余計なことを言ってしまいました。すみません、すみません」
ロトが自分のほうへ向くとクックさんはまたペコペコ謝りだした。もしかして物凄く気が弱い人なんじゃないか、クニの父親で村長の息子のはずなんだけど随分と性格が違う。
「…それは噂でしょうか? 確かに大神官は前王の教育係りでしたが後に降ろされてます。違う方が教育係りと王補佐に任命され、大神官は政治への関与を一切許されませんでした。前王が病気で倒れてからは、今の王が統治されてますし別の王補佐がおられます。どこから大神官が出てきたのでしょうか、不思議ですね?」
「………」
コージェ達三人は絶句した。
確かに今の王補佐は大神官と別人だ、説明されれば大神官の出る幕なんでどこにもないのが解かる。だがそんなこと噂から想像できるはずもなく皆は無責任な噂を鵜呑みにしてしまうのだ。
話しが途切れたところでコージェ達は帰ることになった、仕事が溜まってるそうだ。
この頃、些細なできことで大騒ぎし皆を集め、さも重大事のように発表する村長に仕事を頻繁に中断されて辟易してるらしい。この状態が続くようなら村長職も取り上げないとってぼやく。
「ギャッ!」
小屋を出ようとしたコージェの襟首をロトが唐突に掴み後ろへ引っ張った。コージェは悲鳴をあげ転びそうになったのをジェンさんが受け止める。コージェ達三人はわけが解からず唖然とした。
入り口の外で陽を反射した剣が光る。
さっき戸を開けたときにはなかったはず。コージェが出るタイミングを見計らい誰かが剣を突き出したのだ。なんて危ないことをする、もし刺さってたら命すら危なかったかもしれないのに。
壁から剣を取りロトにも渡す、コージェ達三人を小屋の奥へ押しやり目障りな剣を叩き落とそうとした、だがロトに先を越される。――まあロトに任せておけば大丈夫。入り口を塞ぐ形で仁王立ちしたロトには隙がない。
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