[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
入り口の外にいた三十歳ぐらいの神官が剣をすっと下げた。ニコニコ微笑んでるが細まってる目の光が気に障る。背がザワザワっうかゾゾーッっうか嫌な感じで寒気がする。
踵まである裾が邪魔なのかザクッと剣で切り裂き捨ててしまった。ゲェッ、男の生足なんぞ見たくもねえって一瞬、引いたが下には騎士のような細身のパンツとブーツを履いてる。『初めから動きやすい格好してこい!』 怒鳴りたかったがそんな雰囲気じゃない。
こいつがさっき聞いた偽神官なんだろう、確かに育ちが良さそうな雰囲気だが同時に冷酷そうで他人を見下してる感じ。
クニと村長も一緒のようだ、少し離れた場所に二人固まって偽神官の行動に驚愕してる。
「親父? 閉じ込めてたはずなのにどうして…?」
クックさんも二人を見つけてふらりと入り口へ向かいコージェ親子が慌てて引き戻す。二人を心配な気持ちは解かる、だが殺気漲るロトと偽神官の間を通り抜けようなんて自殺行為だ。
「クニが出したんだ、それしかないだろっ!」
苦々しく言い捨てたジェンさんにクックさんは言葉もない。うん、だよね、村人の総意に逆らい村長を逃がしたうえ態々ここまで偽神官を案内してきたんだ。
「おい、てめえらは部屋に隠れてろ、俺かロト福神官が声かけるまで出てくんなよ。いざってときは仕掛けを使え、俺がいたときに作ったやつだ。まさか忘れたとか言わねえよなクック?」
「ドジャ? えっ? …えーと……ああ…大丈夫…」
いつの間にか男が部屋から出てて自分がいた部屋へコージェ達三人を押し込んでる。自分こそ怪我してるのに出てきて大丈夫なのか。唐突のこととはいえクックさんの返事は頼りないし、なんか気になる言葉を聞いたような。まあいいやそれどころじゃないし。
緊迫してた空気が動く。偽神官が焦れた様子でロトへ切りかかった。ロトは斜め上に剣を流し偽神官の剣を弾き返してる。バランスを崩した偽神官は二・三歩後ろへ下がり剣を構え直す。ロトは冷静に偽神官の動きを監視してる。むむっ? んーと、違うな、ロトに切りかかったんじゃない、戸とロトの隙間に剣を振り翳し体ごと突っ込んだんだ。咄嗟にロトが避けると計算して。
「…やはり狙いはキジュの命ですね、大神官の命令ですか?」
「へっ、なんで?」
「なんでもいいから、俺の背に張りついてろ!」
男がキジュの前に立つ。偽神官は男を一瞥して「チッ」と舌打ちする。怪我人に護られるのはちょっと違うと感じたが牽制になってるようなので我慢だ。
偽神官は焦り、だが少しの隙もないロトに次の攻撃を加えられず焦燥してく。やけくそみたいに切りかかる。右、上、右、左、上、息も吐けぬ素早い動きで次々と攻撃を繰り出した。強い! キジュでは避け切れない速さで、動きが見切れない。
でもロトは全て受け流す。体の芯がぶれることもない。徐々に偽神官の息が上がってく。でも最小限の動きで抑えてるロトは平素のまま。どんなに攻撃を加えてもビクとも動じないロトに偽神官が血相を変えた。腕の違いを認められず屈辱と感じてるんだろ。
偽神官の動きが大振りで雑になった。益々ロトとの差が際立ち自爆するのも時間の問題かに思われた。しかし突然、くるりと向きを変えクニと村長へ突進してく。「やばっ!」 叫んだ男は指を銜え笛を鳴らした。
「ピィ―――――ッ!」
≪1-8|目次|1-10≫