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 直ぐ側で鳴らされた甲高い音に両耳を塞ぐ。

 指笛は合図だった。三人の神殿騎士がどこからか飛び出し偽神官に猛攻をかけた。一人が剣を受け、一人が横から体当たりを噛まし、バランスを崩し転んだところを三人がかりで押さえ込む。連携が取れた素晴らしい動きだった。偽神官の手がクニに届く寸前のことだ。

「はぁーっ、やれやれ間に合った。この状態で人質にでもされたら見殺しかないからな」

「………」

 腰を曲げ両膝に両手をつき男は大きく息を吐き出した。傷が痛むのか汗が流れ床に小さな染みをつくる。しかしとんでもないことを言いだした、ギョッとして思わず顔を凝視する。

「なんだよ、仕方ねえだろ、どー見てもクニは偽神官の仲間だ。人質にされても誰も助けねえと思うぞ。自業自得ってやっだ、お前だって襲ってきた敵のために自分の命を捨てるのは嫌だろーが?」

 そりゃ確かにそうなんだけど、うーん、ちょっと違う気もする。

「クニーッ!」

「あちゃー、出ちゃってたのか」

 偽神官に縄をかけた神殿騎士達がクニと村長の二人も後ろ手に縛ろうとした。押さえてたコージェ親子の手を振り切ってクックさんがクニに向かって駆けていく。包帯の巻かれた右腕を庇っている、クニに辿り着くと両手で抱きしめ神殿騎士の邪魔をした。怪我人に対して乱暴に扱うわけにいかず神殿騎士は困った顔で立ち尽くす。

「ロト神官、構わないか?」

「ええ、クニさんだけなら」

 小屋の入り口の前に立ち神殿騎士達を見ていたロトの横を通り抜け男はクニへ向かってく。

「おい、許可は貰ったぞ、クニは捕まえる必要ねえ」

 クニ親子と困惑してた神殿騎士の顔がぱっと明るくなった。仕事とはいえ父親の前で息子を捕まえるは心苦しかったらしい。

「わっ、わしは?」

 誰も邪魔がいなかったため既に縛られていた村長。期待に目を輝かせて甥を見詰めてる。

「ん? 伯父貴は流石に無理。手前のしたこと考えたらどーだ?」

 にぱっと男は軽薄そうに笑う。なんで神殿騎士達が従うのか不思議。

「わしが何をしたって言うんだい? 村のために大神官様お勧めで身分の高い神官を住まわせようとしただけだ。そうだろロト神官、あんたと違ってな」

「あっ馬鹿、止めろ。やばいって…」

「その者はキジュの命を狙った罪人です」

 村長のほうへ歩いていくロトの後をなんとなく着いてく。

「たかが孤児の一人や二人が死んだからって、なんの……モゴモゴ……」

 男は口を塞ごうとしたが、体を揺すって暴れる村長に傷が痛んだのか少し手間取った。

「今までと同様と甘い考えでいるようですが、今回ばかりは赦されません。あなたも同罪です、自分の立場を自覚なさい!」

 表情一つ変えず冷静にロトは村長を切り捨てた。殺人未遂は重罪だ、良くて終身刑、悪ければ死刑の可能性もある、ことの重大性に気づいてないのは村長、本人だけだ。 

「このクソが、墓穴掘りやがって! これで実刑、確実じゃねえか」

 村長の口を手で塞ぎ、呆れたように言う男にクックさんは驚いてる。何か言いたそうな顔だが一言も発しない、余計なことを言ってクニまで罰せられては大変と考えたんだろ。

 偽神官に騙されて利用されただけなら掴まっても後から許される可能性があった。しかし身分の低い者の命を軽んじる言葉を吐いてしまってはままならない。建国した初代王の願いと神殿の教義に正反対の思想だ、神殿関係者がこのまま見逃すと思えない。 



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