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男の名はドジャ、十三年前は神殿にいた神官だったらしい。本人はとっくに還俗したつもりだったが認められず今回、怖い神殿騎士総括様に脅されお手伝いに借り出された。
脅されたっても悪いのはドジャで、偽神官に襲われる原因を作った張本人だ。
普段は王都で用心棒や人探しなどで小金を稼いでるらしい。
ある日、仕事が舞い込んだ。手に特徴のある子供を生き別れになった両親が捜してる、なので人手が欲しいとのことだった。
集められたのは三十人ほど、依頼人はウェト神官と名乗った。
実際の依頼は、神殿外で暮らしてる神官達の同居人を調べ、その中に 【手に特徴のある少年】 がいないか捜すこと。少年を見つけた者には依頼料プラス報奨金っう話し。
始めは胡散臭いと感じたらしい。でも高額の依頼料と報奨金が魅力的でつい仕事を請けてしまった。依頼人の事情に必要以上、首を突っ込まなければ大丈夫と思ったんだそうだ。
ドジャは 【手に特徴のある少年】 を二人見つけた、一人は手の甲に火傷があり、もう一人は手首の内側に目立つホクロがあった。だが二人とも幼い頃より神官に育てられた孤児で報告したが報奨金の対象にはならなかった。
故郷の村に戻ったのも 【手に特徴のある少年】 探しのためだった。
村には探してる少年はいなかった。だが成人した孤児を独立もさせず隠れ住むようなロト神官が気にかかり、王都へ帰った日にウェト神官と世間話して探りを入れた。まさか部屋の隅で大神官が聞いてるなんて思いもしなかったそうだ。
残念ながらウェト神官からはなんの情報も得られずその日は帰った、だが次の日に神殿騎士総括が直々に訪ねてきた。
神殿関係者が襲われる事件が立て続けに起き、ドジャが見つけた 【手に特徴のある少年】 二人もその中に含まれていること。ドジャの話しを聞いた大神官とウェト神官が故郷の村へ行き、まんまと村長を騙しロト神官とキジュを襲う算段を立てていることなどが伝えられた。
ドジャは大神官の腹黒さを知っていた、だからウェト神官が繋がってたことに焦ったそうだ。責任を取って伯父である村長を説得し大神官をキジュに近づけないよう命令された。しかし還俗してるつもりだったから、もう神官じゃないって断ったそうだ。
ところが還俗は認められず、そのうえウェト神官は他人を平気で殺す、と聞かされ親類達が心配で引き受けた。
まず村長宅へ押しかけ説得しょうと試みた、しかし玄関払いで村長にも神官達にも会えず、考えた末クニに神官達へ渡すよう手紙を預けた。
手紙を読んだなら行動を起すと予測してのことだ、襲われたのも予想の範囲内で、予想外だったのはウェト神官が想像以上の手練だったこと。警戒してたが寸前まで誰かがいることも、殺気も気づけなかったらしい。気づいたときにはもう遅く避け切れなかったそうだ。
逃げ込める場所も心当たりがなく、最後の手段としてこの小屋が思い当たった。
最終的に狙っているのはキジュなので、この小屋で待ち伏せすれば捕まえられると考えたそうだ。
大神官も予測通りだった。保身に長けた人間なので何人もの神官や神殿騎士達が村にいることを示唆すれば早々に逃げ出すと考えたんだそうだ。
「へぇーっ、そうなんだ? 大神官ってそんな人間なんだ」
「まあな、ウェト神官は逃げるのに邪魔って切り捨てられたんだろ」
そういえばロトは一言も喋ってないと見れば、テーブルの上で手を握り唇の端を少し上げた状態でジーッと手を見詰めてた。人間の代わりに精巧な人形を置いてるみたい。
ハッとロトは顔を上げ目が合うと優しく微笑んだ。嬉しくなって微笑み返す。
「そんなことよりもドジャさん、あなたが忍び込んだ場所を教えていただけますか?」
そうだ、ドジャだけでなくクックさんも知ってるやつね。
「あーあれな、俺が寝てる部屋に抜け穴があるんだわ、後で開けれねえように塞いとく」
「一箇所だけですか、他にありませんか?」
「ねえよ、そこだけだ」
ドジャが村にいたころにクックさんと二人で作った仕掛けで、作った理由は忘れたそうだ。
本当はあのときロトは何かおかしいと気づき、窓のない部屋を調べようとしたそうだ。それでドジャは寝室へ逃げ込みベットで力尽きた。
「ロト神官に見つかるとヤバイからな、天井の柱を伝って隣に隠れた」
素直に見つかったほうが早く治療できたのに変な奴。
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