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 部屋へ戻るとタイミングよく朝食の準備が整ったとの知らせ。食事のたびに部屋を移動するのは面倒だなとチラリ頭に浮かぶ。

 食堂の中央に長方形で十人以上は座れそうなテーブルがあり、キジュを中心に右側にロト、左側はドジャとコージェが座る。食事は神子といえど質素で今まで食べてた物とそう変わらない、ただ部屋の隅に神官達が控えじっと見詰められてるので緊張する。

「まだ見学すんだろ、次はどこいくんだ?」

 ドジャは緊張することもなく大口を開けて豪快に食べてる、だが不思議と下品じゃない。

「ドジャさん、他の神官の前では言葉使いに気をつけてください」

 ロトは粗末な小屋にいたときより豪華な部屋にいるほうが自然で溶け込んでる。

「大丈夫、聞こえねえって。それよりどうすんだ?」

 食堂も馬鹿みたいに広く、確かに中央で話してる声が壁際まで届くとは思えない。

「んーと一通りは見ておきたいんだけど、一般に開放されてるのは図書館と治療院だっけ? 人が増える前に見てしまいたい」

 人が増えたら変に注目されそうで嫌だ。

「後は墓場と聖堂もそうだな。まあ墓場はいつ行ってもたいした人はいねえけどよ」

 墓場ねえ、一応見に行くけど葬式以外で神官の仕事ってあるのかな。

「どちらにしろ図書館は聖堂からでないと行けませんので、まずは聖堂から案内しますね」

 夜明け前と同じ道順で聖堂に入り、入り口直ぐの階段を上る。一階に下りるには聖堂中央の階段を使うしかなく皆の注目を浴びるので避けたそうだ。

 二階の柱廊から聖堂を見下ろす。聖堂の天井はドーム型で高く、三階部分が明り取りの窓になってて煌々と光が差し込みかなり明るい。だが柱廊の真下は明かりが届かず少し薄暗いみたい。

 一階に数多くの神官が屯してた、これっう目的はなさそうで傍から見たらかなり暇そう、何をしてるか不思議だ。

「彼らですか? ああ、あれが彼らの仕事です。一見惚けっとしているように見えますが、聖堂を訪れた人々が声をかけやすいよう彼らなりに考えているのでしょう」

「へぇ―――……?」

 そりゃ忙しそうに歩いてる神官より、暇そうに立ってる神官のほうが声をかけやすいけど、だからなんのためそうしてるかが解からない。

「殆どが暇を持て余してる年寄りと世間話して終わりだがな」

 フンと神官達を見下したように笑うドジャ。ロトは溜息を吐く。

「話し相手を求めて神殿に来られた方の相手をするのは神官として正しい行ないです。……ですが彼らがしなければいけないことと微妙に食い違っています。本来なら彼らは来られた方々に祝福を与えたり、略式の結婚式を挙げたりするためにいるのですが……あの様子では認識されていないようですね」

「来た人々から寄付を集めようって魂胆で始めたはずだが、神官自体が目的を忘れちまったんだろ」

 つまり全然駄目ってことじゃん、本当に暇を持て余してると同じ。

 神殿は神官の派遣は料金を取るがその他全て寄付で賄っていることは常識、なのに肝心の寄付すら満足に集められなくてよく神殿潰れないな。国と貴族からの寄付だけで支えてるのか、そりゃ貴族から不満だって出てくるよ。

 なんか神殿がまともに成り立ってるか不安。

「はぁ……、聖堂はもういいよ、図書館へ行こう」



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