[PR]上記の広告は3ヶ月以上新規記事投稿のないブログに表示されています。新しい記事を書く事で広告が消えます。
見られてることに気づいた神殿騎士は走ってきて跪いた。
「申し訳ありません、彼らの上司は神子様と福神官様方がお戻りであることを通達してなかったようです」
置き去りとなった神官達も慌てて駆け寄り跪く。――いやいやいや…こんな場所で跪かれても体裁が悪いんだけど、誰かに見られ何事かと騒がれでもしたら大変だ。
「神子はそのような謝罪は望んでおられません、私達も誤解が解ければそれで構いませんので跪くのはやめてください。……しかし他の神官達が見当たらないのですが……図書館は大勢が配属されているはずですよね、彼らは皆一階にいるのですか?」
ぎょっとして一歩引いたキジュを庇うようにロトが前に出て代わりに対応してくれた。ロトの疑問ももっともでさっきバタバタと何人も走ってる、図書館内に誰かいるなら気づいて様子ぐらい見に来てもおかしくない。でも誰も来ず静かなままで人の気配っうものが全くない。
神殿騎士と神官の四人は立ち上がったが困惑した様子で顔を見合わせてる。
「いえ、図書館の管理は三人もいれば充分なので、残りの神官達は寮で休んでいます。毎日交代で出て来てますがそれが何か?」
最初の若い神官が不貞腐れてた態度でそっぽを向いたまま答えた。相手が本物の福神官や神子と解かっても畏まる気はなさそう。他の二人の神官も頭を立てに振り、同意を示してる。神殿騎士の二人は渋い顔で神官達をきつい目つきで睨んでて何か言いたそう。
「充分? あなた方はどこになんの本があるのか全て暗記しているのですか? 題名を言えば即持って来れるのですね。あなたはまだ八等神官ですが、例えば五等神官が昇進試験を受けるためにどんな本を読めば良いか? 今直ぐ答えなさい」
ロトの顔から表情が消えた。綺麗で優しいロトが人形みたいに冷たい印象に変わり、冷酷で傲慢、人を裁断するかのような迫力を醸しだす。
「なっ、なんのためにそんなこと、ここ答えないといけないのですか?」
一瞬で真っ赤になった顔が答えだ。強気で聞き返してるが腰が引け言葉がどもり、迫力はロトの足下にも及ばない。
「解かりませんか? 一人に百の題名を覚えなさいと言っても難しいかもしれません、でも百を二十人で割って一人に五つの題名を覚えなさいと言ったらどうですか、簡単に覚えられますね。八等神官にまだ経験のない五等神官の昇進試験のことを答えられなくとも、経験のある四等神官なら答えられます。……図書館は働くものに楽をさせるため大勢を配属しているのでなく、利用する者がストレスなく便利に使えるようにと大勢の神官を配属させているのです」
ロトの説明は解かり易く考えも納得できる、神殿騎士の二人もコージェもドジャも肯いてる。ただ神官達に想像もつかなかった考えらしい。
「…馬鹿らしい、図書館は貴族出身の者が配属される場所ですけど! 神官のくせにそんなことも知らないのですか? 本が読みたければ自分で探せばよいでしょう、貴族出身の我々の手を煩わせようなんて……」
「ロト、図書館の責任者は誰だか解かりますか?」
話しを聞くだけ無駄なので途中で断ち切った。人間として失礼な態度だと思うけど、きっと彼らとはどこまで行っても平行線のままでこれ以上の会話はお互いのためにならないと感じたからだ。
若い神官はむっと怒った顔をし口を開いたが他の神官に咎められて黙る。流石に相手が神子では拙いと悟ったのだ。
「はい、タラッ神官補佐です、呼びますか?」
「いえ、後にしましょう。来たものが自分で探すなら図書館に神官はいりません、図書館担当の者達は今後の身の振りかたを考えなさい。貴族出身であることを誇りたいのなら還俗することを勧めます」
まともに寄付も集められない神官達の次は無駄飯喰らいの神官達か、一体なんなんだ最悪じゃないか。
三人の神官は驚いて固まってるがそのまま置き去りにして本のある場所へ向かった。コージェとドジャは黙って着いてくる。コージェは神殿について一切口に出そうとしない、賢いのだ神官でない者が口出しできる事柄かどうか良く弁えてる。
ドジャは一度逃げただけに神殿に否定的な意見ばかり言う。根本は他の神官に関わりたくないと思ってるのが見え見えで。今はキジュがいるから、神殿のありかたが今後変わる可能性あるからここにいるだけで、もし期待を裏切ったりしたらなんの未練も残さず飛び出してくだろ。
ロトは神殿騎士二人に対し、手間をかけさせたことへの礼を述べ仕事に戻るように指図してる。そしてキジュ同様、神官達三人をそのまま切り捨てて追いかけてきた。
≪2-5|目次|2-7 ≫