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 図書館で少し時間を食いすぎ、次の治療院へ向かうため聖堂を通り抜け表へ出たときは、もう大勢の人で溢れてた。

 聖堂からは石が敷き詰められた広くて真直ぐな道が遥か遠くの門まで続き、その道の両端には出店がずらりと並んでる。

「……市場?」

 コージェから聞いたことある話しと同じ。

「…いや残念だけど規模が違う。市場の道はここの何倍も長いし、交差した道にも出店が続いてて人がもっと多い」

「へー、そうなの?」

 ちょっと困ったように苦笑しながらコージェが説明してくれた。なんとなく雰囲気は解かるけど、しかし今でさえ人で溢れてるのにこれ以上多かったら歩くこともできなくなる、皆どうやって目的の店まで行くのか不思議。

 そのとき唐突に腕を掴まれ引っ張られた、驚いて相手を見るとロトだ、薄笑いを浮かべ今まで立っていた場所を指差す。

「大勢の中では人の流れに逆らわないよう進んでください。特に逆行すると周りが混乱するからやめてくださいね」

「…は?」

 よく見ると大勢の人達に一つの大きな流れができてた。道の中央を聖堂へ向かう人達が歩き、外側は聖堂から門へ向かう人達が歩いてる。キジュがいた辺りだけ聖堂から続く列が膨らんで、反対側から来る人とぶつかり右往左往してる。

 両端にある出店を良く見ようと無意識に道の真ん中へ歩み寄ってたみたいだ。膨らんだ列はキジュの後を歩いててつられて道の真ん中へ寄った人達、キジュが突然抜けたことでちょっとした混乱が起きてた。

 キジュが反対方向から来る人とぶつからなかったのはロトとドジャ、身分が高そうな二人の神官と一緒にいるため。今もそうだが、道の端に突っ立ってるギジュ達を人々は邪魔そうに見ながらも、目が合うと頭をペコッと下げ愛想笑いを浮かべながら避けてく。神殿内では下手に神官に逆らっては拙いと皆考えるのだ。

 混乱もいつのまにか収まり列の膨らみも消え人々がぶつかることなくスムーズに流れてた。へぇ~っ人間って面白い生き物、誰も指図するリーダがいなくても大勢集まると自然に規則みたいなものができ皆黙ってそれに従うんだ。



2-8目次2-10


 

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